Vol. 12

店頭販売1000倍計画「第12回 テラー研修成功のポイント4」

CATEGORY
ニッキン投信年金情報
DATE
2005.09.19

“成功を支えた講師とテラーの信頼関係”

前回まで、研修を長く継続できた背景についてお話してきました。しかし研修が支持された原因は、決してそれだけではありません。

投資型金融商品は、銀行のマネジメント層にとって自ら販売経験のない商品であり、テラーとの意識のギャップが生まれやすい分野です。そのような環境下で販売員の苦労を理解し、適切なアドバイスをできる講師陣を得たことが、研修成功の最大の要因といえるかもしれません。そうした中、テラーの味方(悪魔のように見えたかもしれませんが)を自負していた私たちに、予想外の副産物がありました。

「Q12 予想外の副産物とは何でしょう?」
「A12 研修を制する者は情報を制す。テラーの様々な声を聞きくことで、現場の情報をタイムリーに得ることができました。」

さらに、トップダウンではなくボトムアップで情報を伝えること、つまりテラーを通じて全店に必要な情報を伝えることも、効率的にできるようになったのです。

“情報の収集・発信は研修から”

本部にいると現場の的確な情報を得るのは非常に難しく、一部の誤った情報が現場の意見としてまかり通ることもありがちです。研修を行うことは、そのような間違った情報を否定できる情報ソースを持つことにほかなりません。

具体的には、業務推進上の問題点の洗い出しをグループディスカッションのテーマにする方法などがあります。当然ながら、そのまとめを活用すれば営業戦略上のソリューションになりますし、個々の情報からは推進に否定的な支店なども把握でき、「押しかけ勉強会」のリスト作りにも役立ちます。

また研修の場を利用すれば、全店に向けた商品やキャンペーンのプロモーションを効率的に行うこともできます(前回お話したVAの導入時にも、この方法をとりました)。

逆に新商品を導入する際のマーケティングも、研修を通じて行うことができます。「こんな商品があったら買いたいと思いますか」「この商品はお客様に勧めたいと思いますか」といった簡単なアンケートでも、研修がなければなかなか実施できないものです。

“営業ツールのマーケティングも可能”

「真に有効なツールとはどんなものか」「このツールで、分散投資の必要性が理解できるのか」――多くの本部担当者が、こうした疑問を抱いているのではないでしょうか。そんな時は、試作段階でも構わないので、そのツールを使ったロールプレイングをカリキュラムに組み込むことをお勧めします。

すると、「本当に使われるのか」「改良点はどこか」などを実践的に把握することができます。面白いことに、研修でセールスストーリーがイメージできると、「早くそのツールでセールスしたい」という欲求も生まれてきます。

さらに次の研修カリキュラムでも同じツールを使用すれば、そのツールによる成功体験を他のテラーに伝えることができます。そして、新しいツールの使い方を理解したテラーが使い始める。こんな好循環が生まれるかもしれません。

“コンプライアンスの徹底”

当初はセールス中心の研修でしたが、販売実績が伸びてくると、コンプライアンスを考えた事例研究なども研修テーマに取り入れました。

テラーが、普段コンプライアンスに則ったセールスをしているかどうかをチェックできるのも実戦的な研修だからこそです。実績上位者でも誤解を与えるセールスしている場合もあります。そのようなテラーには、研修で的確な指摘をし、正攻法でお客様に接しているテラーのセールスを見て学んでもらうのです。

本当に販売員のことを考えるなら、誤解を与えるセールスをさせないことが重要です。そうした指導の徹底から、講師とテラーの一層の信頼関係が生まれるのではないでしょうか。