Vol. 05

店頭販売1000倍計画「第5回 店頭販売の課題」

CATEGORY
ニッキン投信年金情報
DATE
2005.08.01

“現在も課題は山積み”

店頭販売の優位性については、前回のお話でご理解いただけたと思います。近年は定期分配型投信の活況などで、多くの金融機関の店頭でも株式投信や年金保険の販売実績が伸びていることでしょう。

しかし現在でも、店頭販売には多くの課題が残されています。とくに個人投資家の立場からすると、問題は非常に大きいように思われます。

「Q5 順調な販売実績の裏に隠された課題とは、どんなものでしょうか?」
「A5 販売員個人の問題も、銀行の組織としての問題もありますが、せんじ詰めれば「コンサルティングスキルをどう高めるか」という点に行き着くでしょう。具体的には、以下のような諸点です。」

“投資家から見放されないために”

①販売後のフォローができていない

証券会社と違って銀行には明確な担当者制がないため、販売後のきめ細かいフォローができていません。しかし銀行の店頭販売は数多くの顧客を相手にしなければならないため、「言うは易く行うは難し」といったところが実情でしょう。

そこで、店頭は新規顧客獲得のチャネルと割り切って、アフターフォローについては運用報告会等のセミナーを効果的に活用するのはどうでしょうか。運用報告書のDMにキャンペーンやセミナーの案内を同封するのも、一つの方法でしょう。それ以上のフォローが必要な顧客には、違うチャネルが必要かもしれません。

②専門知識が足りない

マーケットや税金など、投資型商品の販売に本来必要とされる専門知識が、銀行員全体にまだまだ不足しています。ことに、残念ながらベテランになればなるほど、知識の吸収力が落ちるのはやむをえません。

ただし、ベテランの販売力は貴重であり、その力を否定することはできません。継続的に訓練を重ね、販売実績だけでなく知識(銀行業務検定や資格)やコンプライアンス面も、評価の対象としていく必要があると思います。

③役職者の認識不足

従来の銀行にはなかった業務のため、内部役席、内部管理責任者、営業責任者など役職者の中に、いまだに投資型金融商品の販売に否定的な人達が多いのも事実です。それもあってか、問題やトラブル防止への対処力が弱い上席も少なくありません。こうした「文化」も、ある程度の時間をかけて変えていくしかないでしょう。

④中途退職者が多い

テラーはどうしても結婚や出産による退職が多く、スキルをたくわえた大切な人材が簡単に職場を去ってしまいます。やる気のある有能な女性を失うのは、非常に残念なことです。

⑤管理職の育成が必要

少数のスーパー・セールスレディーに頼ることなく、テラー全員が恒常的に販売実績を上げるのが理想とすれば、その人々を管理するマネジメントスキルは相当重要です。
ところが現状では、そうしたマネジメントスキルは体系化できていません。いま販売の最前線にいるテラーが管理職になる時にそなえ、マネジャー研修のシステム作りを急ぐ必要があります。

⑥コンサルティングの環境が未整備

今の銀行の店頭は、コンサルティング業務にふさわしい環境とはいえません。店舗レイアウトの変更やシュミレーションツールの補強など、いっそうの設備投資が必要でしょう。
いろいろ述べましたが、店頭販売で最も問題なのが販売員のコンサルティング能力であり、コンサルティングスキルを向上させるモチベーションの維持だと思います。次回はテラー研修についてお話します。