Vol. 01

店頭販売1000倍計画「第1回 誰も売る気のないものを推進する」

CATEGORY
ニッキン投信年金情報
DATE
2005.07.04

投資信託や個人年金保険の銀行窓販戦略を語る際に、「店頭販売比率」という言葉が頻繁に使われるようになりました。今や「店頭」は、銀行窓販の成功に不可欠なチャネルであり、非常に重要視されています。

店頭販売は、店舗網と、そこに常駐する女性行員を活用して銀行収益の拡大を図るビジネスモデルであり、私の在籍していた銀行では、100 店舗以上で300 人以上のテラーが毎月80 億円の投資型金融商品を販売し、ナンバーワン・テラーは年間に12 億円もの売り上げを達成しています。

“最初から売れる環境などない”

しかし、そこにいたる道のりは、決して平坦なものではありませんでした。お客様に「定期預金と国債」しかセールスできなかった「テラー」が、「元本保証のない商品」をどうやって販売するようになったのか。
地銀の窓販推進担当であった私の仕事の変化(=作戦の変化)をQ&Aの形で振り返りながら、窓口販売の有効性について改めて考えていきたいと思います。

「Q1 投信の窓販業務開始当初は、どんな状態だったのでしょうか」
「A1 多くの方が想像されたとおりです。ご多分にもれず私がいた銀行でも、投資型金融商品の販売環境は惨憺たる状況でした。たとえば当時の各部署の反応は……」
<銀行本部>

1.先行して販売している他行は、専門知識のある特殊な行員を採用しているはず。だから、今の行員には無理。
2.クレームの起きやすい商品であり、風評リスクの方が大きい。だから無理。

<営業店>

1.顧客に損をさせるかもしれない商品など、銀行では売れない。売らせない。
2.やるなら、証券会社から人を採用してやるべき。
3.店頭では、MMFでも説明に1時間。株式投信を売る時間などない。事務処理も面倒。
4.本業(法人営業、住宅ローン営業)が忙しく、そんな暇はない。
5.知識もなく、売れない。怖い、恐ろしい。

といったところ。

本部からの目標も示されない上に、株式投信への行員の体質的な拒否反応もあり、とても売れるような状況にはありませんでした。当初は、全体で毎月1億円販売できて喜んでいたような気がします。
以下はその後約3年間の足どりですが、これから15回にわたり、「店頭販売を軌道に乗せた」ポイントについて紹介していきましょう。